催眠療法でクライアントさんをみていくと、記憶のすり替りが起きている
ことがよくあります。
催眠前にお聞きしていた子供の頃の記憶と、催眠状態に入ってからの
潜在意識の中に残っている記憶が違うのです。
例えば、催眠前には「子供の頃、父がとても厳しくて恐かった、でも母は
あまり口うるさく言わないおとなしい人でした」というのが、催眠状態で
子供の頃に戻っていくと「父はたまに私を叱るけれど、普段は別に恐くは
ない、むしろ無言で忙しそうにしている母が恐い」という場合や、
催眠前に「両親ともに優しく、子供の頃は平和で特に問題はないです」と
いうのが、催眠後には「両親ともに私を可愛がりすぎるあまり、私を自由
にさせてくれない。何をするのもどこへ行くのも“あぶないからやめておき
なさい”って言っていた。だから今の私は何をするのも自信がないんだ」と
いう場合や、
「子供の頃からほとんど楽しいことがなかった」というのが、催眠で探って
いくと、子供の頃に楽しい体験がいろいろあったり…などなど、何らかの
原因で記憶が替わっているのです。
ただ記憶がすり替わっているだけで、特に問題のない場合はいいのです
が、それが、無意識に自分自身の心に影響を与えている場合もあります。
(*_*)先日、私の娘(16歳)が、こんな事を言いました。
「私が幼稚園の頃、お兄ちゃんの習い事に出かけるとき、私はよく一人で
留守番をしていたよね」
これを聞いたとき、とてもびっくりしました。
幼稚園の頃に一人で留守番をさせたことなどなかったからです。
どこへ行くのも、近所のスーパーに行くのでも、連れて行っていたから、
お兄ちゃんの習い事のような何時間も留守にする時に、一人でお留守番を
させることなどあり得なかったからです。
娘が小学校4年生ぐらいになり、「家で待ってる」と言うようになってからは
留守番をしていてもらうことはありました。
だから、いつのまにか娘の記憶がすり替わっていたのには本当に驚きました。
“幼稚園児の時に一人で留守番をしていた”という記憶にすり替わっていた
ことが、今の娘の心に何らかの影響を与えていたかどうかは、探っていませ
んが、『一人で留守番をしていたことはないよ』ということをアレコレと説明を
したところ、「あれ~?!そうだっけ?」と不思議そうにしていました (・・?
記憶のすり替わりを一番身近な見本で見せてもらえました。(^^ゞ