カプリ島から高速船でナポリのモーロ・べヴェレッロ港へ戻りました。
ホテルのあるローマに列車で戻るため、港からナポリ中央駅に向かいます。
… が! もうタクシーには乗りたくないのでバスか地下鉄に乗ろうと思います。(^^)
モーロ・べヴェレッロ港前
でも、ナポリのバスも地下鉄も、下調べをしていなかったので、
とりあえず…なんとなく大通りの方へと歩くことにしました。
「ナポリは治安が…」と言われている先入観からか…、
街があまり綺麗ではないからか…、
この通りの人通りが少ないからか…、
何があるわけでもないけれど、なんとなく不安を感じつつ、
でも『先入観はいかん!楽しもう!』と意識して歩きました (^^ゞ
賑やかな通りへと歩いてきました。
おまわりさんもいてホッとしました。
ここからどうやって駅に行けばよいのかまったくわかりません (^^ゞ
幸い、すぐそばにはバス停と地下鉄の駅があったので、
バス停の看板を見てみると…、
このバス停から進む先の路線がいくつもあって、
さらにその各路線に書かれている停留所名に
『ナポリ中央駅』らしき名前が見つかりません (*_*)
それで、地下鉄ならシンプルに絶対に中央駅には行くだろうと思い、
すぐ側の地下鉄の駅に降りて行ってみました。
そこでまた、路線や行き先案内のような看板を見てみたのですが、
どれだけ見ても、またまた、『ナポリ中央駅』 らしき行き先がありません! (*_*)
仕方がないので、改札にいた駅員のお兄さんに聞くことにしました。
すごくシンプルな英語で「私はナポリ中央駅に行きたいです」と話しかけると、
お兄さんは『 地下鉄は中央駅には行かないよ。 エッレチューだよ!エッレチュー! 』
と地上を指さしながら教えてくれています。
(・・? エッレチューってなに?????
私が 『 エッレチュー?』 と聞き返すと、お兄さんは笑顔で地上を指さしながら
一生懸命に何か言ってくれています。
伝わってきた言葉やジェスチャーは、
『 そうだよ!バスで…… エッレチューだよ!』 という感じなので、お礼を言ってまた地上へ。
とにかくバス停の看板で【エッレチュー】を探すことにしました。
(・・? どんな綴りだろう? Ellechu???
でも、看板をどれだけ見つめていても、
『エッレチュー』と読めそうな文字はないのです(@_@)
困り果てて、バス停にいたおしゃれなお兄さんに『中央駅』を聞いてみたら、
やっぱり 『エッレチューだよ』と言っています (T_T)
私が困った顔をしていたからか、お兄さんが看板を指さして、また『エッレチュー』と
言ってくれて、指の先の方をたどって見ると 『 R2 』 という路線があるのです!
(◎o◎)! もしかして『 R2 』 はイタリア語で『エッレチュー』???!
ということで『 R2 』のバスを待つことにしました。
そこで一つの疑問が湧きました!
バスの切符はどうするの???
たしか、乗る前にタバッキ(タバコ屋さん)とかで買っておくんじゃなかったかな?
と、辺りを見渡してもタバッキがありません…。
なので、バス停にいたおじいちゃまに聞いてみました。
私が『バスチケット?』と英単語しか言っていないのにわかってくれて、
おじいちゃまは、ジェスチャーいっぱいに一生懸命に教えてくれています。
『タバッキで買うんだよ。そこにタバッキがあるよ……
Oh!今日はここのタバッキが休みだ!なんてこった~!
だしか…向こうの交差点の先の方にもタバッキがあるはずだ。
行ってみてごらん』
という感じだと思います。
それで、行ってみるとタバッキがあり、営業していました!(^^)
無事にチケットを買ってバス停に戻ってくると
おじいちゃまは心配そうに、私達が戻ってくるのを見てくれていました。
私がチケットを見せると、すごく嬉しそうに
『よ~し!よくできた!これで大丈夫だな!』という感じで喜んでくれました。(T_T)☆
そして『 R2 』のバスを待ちました。
バスが何台か来て、みなさんそれぞれに乗っていくのですが『 R2 』が来ません…。
そこでまた、バス停にいた50代くらいの仕事帰り風のご婦人に
『ナポリ中央駅に行きたい』と伝えると
ご婦人は『私に着いておいで』という感じで答えてくれました。
そしてバスを待っていると、ご婦人は突然、私達をにらみつけるようなすごく怖い顔をして、
低い声で何か言い始めたのです。
完全なイタリア語なので、まったくわかりません…。
とにかくすごく怖いので、私達に突然怒り出したのかと思いました。
でもよく見ていると伝わってきたのは
、
『そこの後ろにスリがいるわよ!あいつらはスリよ!気を付けて!
かばんをしっかり守って!わかったわね?』
と言っています。(たぶん)
それで、後ろの方をさり気なく見てみたのですが、
人が何人もいるものの、どれがスリだか、私達にはわかりませんでした。
そうこうする中、やっと『 R2 』のバスが来ました!
が!(◎o◎) ものすごい満員で乗れそうにないのです。
でもこれに乗らなきゃ、次はいつ来るかわからないし…と
頑張って乗り込もうとしたのですが、ドアが閉まらず、はじき出されてしまいました (*_*;
するとご婦人が私の手を引っ張って、
『このバスに乗らなくても大丈夫だから、次のに乗るわよ』という感じなのです。
次に来たバスは空いているのですが、明らかに『 R2 』ではないのです。(*_*?
でもご婦人は『これに乗るわよ!着いてきなさい!』と言っているので、
ちょっと不安な半信半疑のまま乗り込みました。
するとご婦人は、『この一番後ろの席に座りなさい』と促してくれて、
ご婦人自身は、通路を挟んだ右側に座りました。
しかも、ご婦人は前を向いて座らずに、
私達の方に身体を向けて見守るように座ってくれています。
バスが進んでいく中で、またご婦人が怖い顔で、
『前を見てごらん!スリがやっているわよ!』と教えてくれたのです。
前方を見ると、通路に立っている男が、外の景色を見るような前かがみのポーズで
座席に座っている男性のコートのポケットに手を入れているのです!
男性も外の景色を見ていて、全然気が付いていないのです。
幸いにもポケットには何も入っていなかったようです。
すると、スリは私達の側に歩いてきました。
でも、ご婦人と私とダンナさまでキゼンとしていたら離れていきました。
このスリは、小奇麗な黒いコートを着て、バッグを斜め掛けにして、ハンチング帽を被って…、
私から見たら観光客風に見えるので、
ご婦人が教えてくれなかったらスリだと気づきませんでした。
そうこうする中で、ご婦人が『 さぁ、降りるわよ!』と促してくれて降りました。
どうやらそのバスは駅の真ん前ではなく、駅のほんの少し手前で止まり、
曲がって行くバスだったようです。
でも、十分に駅は目の前だし、こんなバスは地元の人ではないとわからないので
すごく助かりました。
ご婦人は 『 私はあっちへ行くけど、あなた達はこっちよ、ほらそこが駅よ』と教えてくれています。
このご婦人が教えれくれなかったらバスにもなかなか乗れなかったし、
スリにも気づかなかったし、
私達は感謝の気持ちでいっぱいで、ご婦人としっかり握手をして
『グラッツェ!』とお礼を言いました。
ご婦人は私の手を両手で包みこんで、笑顔で何か一生懸命に言ってくれています。
残念ながらまったく聞き取れませんでした。
でも、『気を付けて行くのよ!旅を楽しんでね!』という感じのような気がしました。
そのご婦人と過ごした時間は短い時間だし、
一言も言葉は聞き取れていないのに、
なんだかとても深く温かい時間を過ごしたような…
お別れするのが寂しくて涙が出そうになりました。
バスのチケットを教えてくれたおじいちゃまも、このご婦人も、また会えたらいいな~と
心から思います。
みなさん本当に素敵な人達です。
本当に本当に感謝です。
無事にナポリ中央駅から列車に乗り、ローマに戻ります。
窓の外には、ヴェスヴィオ山という火山が見えます。
東京ディズニーシーにある、プロメテウス火山のモデルとなっているそうです。
翌日は、いよいよ最終日。
午後3時過ぎの飛行機でイタリアを離れます。
それまで午前中は、コロッセオを見学予定です。
つづく…